監査法人は公認会計士の集団です。
一般的な会社とは働き方が少し異なります。
今回の記事では、
監査法人に勤める公認会計士が
どのように働いているのか、
3月決算の上場会社1社(以下A社)の監査を例にとって
1年の流れについてみていきます。
A社は子会社もあり、
全国に拠点を持っているとします。
監査法人のスタートは7月から
監査法人も自社の決算がありますが、
基本的にどの監査法人も6月決算であることが多いです。
(4大監査法人は全て6月決算です。)
では年度末である6月下旬から
監査法人の1年を追いかけていきましょう。
6月下旬
A社の株主総会で監査法人が選任されます。
管理職より下はこのタイミングで2週間程の長期休暇を取っています。
管理職は7月の契約締結に向け準備を進めます。
7月 そこそこ残業
監査契約・四半期レビュー契約が締結されます。
第1四半期(4~6月)に係る四半期レビューを実施します。
終電とまではいきませんが、そこそこの残業をします。
また、今年度の会計上のトピック事項の対応をします。
8月 定時帰り+長期休暇あり
上旬に、第一四半期レビューの報告会を
A社役員に対して行います。
また、四半期レビューの結果や概要について、
財務局に報告を行います。
(四半期レビュー概要書を提出)
お盆は10日前後の休暇が取得できます。
9月 それなりの残業
A社の子会社に訪問し、
概況のインタビューや
内部統制のチェックを行います。
法人内では、監査実施計画の社内審査があります。
10月 そこそこ残業
第2四半期(4~9月)に係る四半期レビューを実施します。
また、トピック事項が発生していれば対応します。
11月 出張三昧
上旬に、第2四半期レビューの報告会を
A社役員に対して行います。
四半期レビュー概要書も提出します(8月参照)
そして全国各地にあるA社の拠点への出張に行きまくります。
(立替経費がとんでもないことになります。)
出張では主に内部統制のチェックや、
期末監査に向けた作業を前倒しで実施します。
12月 それなりの残業
引き続き子会社や拠点を巡ったりします。
期末監査に向けた前倒し作業も進めます。
年末年始は10日前後の休暇が取得できます。
1月 そこそこ残業
第3四半期(4~12月)に係る四半期レビューを実施します。
また、トピック事項が発生していれば対応します。
2月 出張三昧
上旬に、第3四半期レビューの報告会を
A社役員に対して行います。
四半期レビュー概要書も提出します(8月参照)
また、子会社を巡って
内部統制のチェックをします。
3月 それなりの残業
年度決算直前に差し掛かってきました。
期末監査の前倒し作業をたくさんします。
月末には棚卸立会や現金の実査を実施します。
棚卸立会では、
全国各地の倉庫や工場に行くので
出張の場合も多いです。
4月 激しく残業
怒涛の期末監査が始まります。
A社の決算はA社単体と子会社を含めた連結がありますが
単体が締まった2~3週目からA社に赴き、単体の監査をします。
我々が単体監査をしている間に、
A社経理部では着々と連結決算が進み、
我々も連結の監査に移行します。
週6勤務、終電まで残業が必要なほど、作業量が多いです。
また、A社経理部も残業が増えたり
休日出勤していることが多いです。
5月 激しく残業
GWはありません。
会社法で求められる計算書類の表示チェックや
会社法の監査結果をA社役員に報告します。
6月 長期休暇あり
上旬は、
金商法で求められる
有価証券報告書のチェックです。
決算数値自体は計算書類と同じですが、
掲載する情報量が膨大です。
この書類に不備があると、
1年間頑張ってきたことが水の泡となりますので、
目を皿にしてチェックします。
また、時を同じくして、
監査の結果について社内審査があります。
中旬頃、有価証券報告書が提出され、
世間にA社の決算情報が開示されます。
下旬頃、一仕事を終えた公認会計士たちは、
2週間前後の長期休暇を取得します。
監査法人の1年を終えて
いかがでしたでしょうか?
これはA社という1つの上場会社だけを追いかけましたが、
実際は、
上場会社:2社前後
非上場会社:4~8社程度に関与します。
(年次・能力によります)
非上場会社の期末監査は5月中旬頃のため、
A社の監査の後、さらに数社の監査が待っています。
また、
管理職より下は、1年間を通してA社に行くことはなく、
11月はB社とC社の子会社、
6月上旬はG社のヘルプ
といった目まぐるしい感じになります。
監査法人の特徴は波
ご覧のように年間を通して繁忙期・閑散期の
波が激しいことが監査法人の特徴です。
ちょっと専門用語が多く難しかったかもしれませんが、
少しでもイメージをつけたもらえれたら幸いです。
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