修了考査の勉強方法

今回は修了考査の勉強方法などについて
解説していきたいと思います。

ポイントは

  • 絶対評価の試験です
  • テキスト中心の勉強をしよう
  • ITの講義だけは見るべし
  • 他の科目は第1回の講義だけは見てもいいかも?

になります。


科目ごとの細かい勉強法ではなく
大まかな方針を書いています。

公認会計士の修了考査

公認会計士試験の難易度


修了考査の概要

年1回、12月の真ん中の土日に
2日間にわたり実施されます。

絶対評価による採点
相対評価ではありません。

得点が高い人だけが受かる、
ただそれだけのシンプルな試験です。



昨年の合格率激減を受け、
不合格者のみに成績表が送付されました。

倫理での足切りが意外と多かった印象です。

スケジュールおよび科目

<1日目>

10:00~13:00 会計に関する理論及び実務
14:30~17:30 監査に関する理論及び実務

<2日目>

10:00~13:00 税に関する理論及び実務
14:30~16:30 経営に関する理論及び実務
(コンピュータに関する理論を含む)
17:30~18:30 公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理



とんでもないですね。


3時間×2からの
3時間2時間1時間

思い出しただけでも吐き気がします。


特に税が重い。

論文式試験で問われた法所消に加え、
相続、地方、資産、組織再編、
タックスヘイブン、租税条約など
鬼のように広い範囲から主題されます。


また、会計では平然とIFRS(国際会計基準)の
問題が出題されます。



全部解くと時間は全く足りませんが、
分かるところだけ解けば
逆に余る場合もあるでしょう。

修了考査の合格率

修了考査のかつての合格率は
7割程度でした。


しかし今は違います。
5割以下です。



何が起こったのか見ていきましょう。

少し前まで、公認会計士は必ずしも監査法人に入社しておらず、
一般事業会社に入社している人が一定数いました。


特に1日目の2科目目の監査実務においては
監査法人在籍者がかなり有利であり、


合格率7割の大半は監査法人在籍者が占めていると
言われていました。



ざっくり言うと、

監査法人在籍者が受かり、
一般事業会社勤務者が落ちるという構図
です。




しかし現代においては
論文式試験の合格者のほとんどが
監査法人に入所します。


その上での合格率5割なのです。
随分異なる様相を呈していますね。


合格率の低下を受け、公認会計士協会は
異例ともいえる、動画を公表しました。


前述の通り、絶対評価なんです。

絶対評価の試験で合格率が落ちる
=受験者の質の低下or問題の難化と

いうことなんでしょうか…

修了考査の勉強方法

予備校

まずTACか大原に入ります。
(独学の人は見たことがありません。)

修了考査対策講座なるものが
用意されています。


費用は15万円程度で
監査法人在籍者で初回受験の場合は
監査法人負担のことが多いです。

TACの方が圧倒的多数派ですが
正直どちらでもいいです。


論文式試験を合格してきた人なら
分かると思いますが、
合否は予備校のせいではなく
自分の実力なのです。

ただ、TACの方が周りと比較して
勉強の進捗度合いを把握しやすいという点で

有利かもしれません。

予備校の自習室を利用するなら
自宅から近い校舎を選ぶのも大事です。


監査法人では試験休暇が2~3週間与えられるので
その間、短当式試験受験生に紛れ
1日中自習室にこもることも増えるからです。

勉強方法

まず媒体として

  • Web講義
  • 答練
  • テキスト30冊弱

があります。


核となるのはテキストになると思います。

講義を見るか見ないか

―講義を見るか見ないか…

時間の少ない受験生にとって大きな問題です。



冒頭でも申し上げた通り、

  • ITだけは全て見るべき
  • その他は第1回だけ見るのはアリ

です。


ITについては、
テキストを読むだけでは無理があるし、
かなり勉強になる上、SOX実務にも活きます。


他の科目については
正直知っていることばかりなので
テキストを黙々と読み進めてもいいと思いますが

各科目とも第1回の講義では
出題範囲や過年度の傾向の解説をしてくれるパターンが多いので
そこだけは見てもいいです。

答練

早いうちから取り掛かりましょう。
安心してください、最初は解けません。

本試験までに何回転もさせ、
アウトプット教材としてだけではなく
インプット教材としても利用しましょう。

答練から似たような問題が出ることはほぼないですが

本試験と同程度の難易度の問題に対する慣れ、
時間感覚の養成が必要です。

テキスト(核となる媒体)

答練は1科目で多くて4回と回数が少なく
範囲がかなり狭いので、テキストベースで
網羅的に学習する必要があります。


税は所得税を切っていいとか
相続税は概要だけでいいとか

色んな情報がありますが、
昨年久しぶりに所得税が問われたこともあり
もうもはや何が出るか分からないので
ヤマを張るのはおすすめしません。

究極的に網羅性を追いかけると
会計監査六法とかになってしまいますが
それを読むのは試験対策としては
さすがに不要かと思います。

追加教材

ITだけは追加で見るべきものがいくつかあります。

講義でも言われるかもしれませんが、

①IT委員会研究報告第52号
②IT委員会研究報告第53号
③IT委員会実務指針第6号

このあたりは一読の価値があります。

しかも会計基準と違ってかなり分かりやすいです。

勉強時間

夏前から徐々に勉強を始め、

10月以降は
平日は仕事終わりに3時間前後
休日は1日中


直前の試験休暇中は
毎日1日中の勉強

が理想です。



可能であれば有給休暇を駆使し
1日中勉強できる日を多く確保しましょう。



3年以上前に合格している先輩方には
そんなに勉強しなくても…といわれるかもしれませんが

時代が違います。無視しましょう。

自炊のススメ

自炊:紙媒体のものをPDF化すること


社会人になり普段持ち歩く荷物に
テキストや答練を追加することは可能でしょうか。


私は無理でした。

そこでおススメしたいのが自炊です。
iPad × Apple Pencil × Goodnotes5(アプリ)

で無敵です。

お近くのkinko’s等に行き、
背表紙を裁断してもらい
スキャンするだけ。(膨大ですが)
(著作権に注意!悪用厳禁!)

先に述べたIT委員会研究報告なども
Web上からPDFダウンロードできるので、

テキスト・追加教材が全てiPadに収まります。
(答練は紙媒体の方がいいと思います)

修了考査で落とせない科目・分野

最低限ここだけは完璧にしておくべき、
という科目・分野について書いてみます。

信じるか信じないかはあなた次第です。

会計

連結・企業結合周りは言わずもがな
完璧に押さえましょう。

IFRSに関しては過年度受験生なら
対策の価値あり

監査・倫理

監査基準や監基報の基礎的な定義などは
もちろん押さえるが
意味不明な問題(昨年でいうと金商法系)も出るので
自力が試されることもある。

ローテーション制度が最近変わったが未出題。
倫理規則等と合わせて改正点も押さえる。

監査実務ハンドブック等で原文を確認するのも
余裕があればアリ

法人税の別表4,5周りは
大法人、中小法人関係なく
うたた寝しながらでも解けるように。

所得は全部切るのではなく、
最低限の計算方法だけは覚えておく。

相続は相続時精算課税制度がアツいと
言われ続けて出てませんが念のためチェック

組織再編・連結納税も大体どちらかが
出題されていますので要チェック

経営・IT

経営(計算)は論文式試験レベルまではすぐ戻るので
指標計算を絶対に間違えないようにする

ITは語句穴埋めが選択問題であればラッキー。
全般統制と個別の統制の流れや
手続を例示できるように暗記する。

修了考査はテキストで勝つ!

まとめると

テキストを中心に
答練も回転させつつ
とにかく網羅的に勉強をする

ということです。

働いて2,3年経過したこのタイミングで
もう一度腰を据えて勉強に取り組むと

実務と理論がリンクして、
より会計プロフェッショナルへと近づきます。

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