公認会計士と企業再生

おってぃです。
かなり久々の投稿です。

大手監査法人を辞め、
企業再生の道に足を踏み入れ数年。

企業再生の素人に毛が生えた私ではございますが
知られざる再生の世界をご紹介したいと思います。


再生ってぶっちゃけ、

「なんかしんどそう」
「ハゲタカファンドみたいなことでしょ?」
「潰れかけた会社を食い物にしやがって」

みたいなネガティブな印象を持たれがちです。

コンサルタントの働き方や具体的な再生手続の話は
別の記事に委ねるとして、

今回は「倒産とは」というところから
代表的手法である「リスケ」を例に書いてみます。

といいつつ、先に再生のバイブルを紹介しておきます↓

会社はどうやって倒産するのか

会社はどういうときに倒産するのでしょうか?

「大手得意先に契約を打ち切られた!」
「各種コストが高騰して営業赤字だ!」

などなど間接的な要因はあれど、


結局のところ倒産とは

現金がなくなること

です。



大会社だろうと中小企業だろうと、

売掛金がいくらあろうと、

固定資産がいくらあろうと、

今日払える現金がなければ潰れるんです。


特に、私が携わっている中小企業の再生では
会社から資料収集し資金繰り表を作成すると


来月末には資金ショートするじゃん!
なんてことも珍しくありません。

社長が私財を投入したり、
どこかしらで個人借入してきて工面しても
一時の延命治療にすぎず、倒産まで秒読みです。

普通はそんなことになる前に
経営陣が手を打ちそうなものですが


中小企業では予算も計画もないこともザラなので
社長お手製のざっくり資金繰りを作ってみて

おや?現預金の様子が・・・?
となって初めて焦りだすことになります。


再生の道はないのか。

資金ショートがほぼ確実な状況になった会社は
座して倒産を待つしかないのでしょうか?

現金が足りなければ、
入金を増やす
出金を減らす

の2つしかないわけですが

入金を増やす

できるんやったら
ハナからやっとるわいという話です。

身の丈を超えた高級車を売るとか
能力もないのに手を出した株式を売るとかして
入金を一瞬増やすことはできますが

そもそも本業が傾いているから
現金がないわけなので

すぐに入金は増えません

出金を減らす

これもこれでできるならしてます案件ですが
実はここがあがきどころです。

払わずに済むような
大きな支出はないでしょうか。

毎月の現金支出といえば
・仕入代金支払
・給料など人件費
・家賃などの経費
・銀行からの借入金返済 あたりでしょうか。

税金・社会保険料は延滞が可能ですが、
もちろん永遠にするわけにいきません。



仕入や経費は相手会社の資金繰りに影響するので
拝み倒せば少しは待ってくれるかもしれませんが
やはり長期間は無理でしょう。

給料も「すまん今月ナシで!」
なんて言った日には裁判沙汰です。


そもそも仕入先や社員には
会社の資金繰りを支える役割はない
ですからね。

ということで、
・毎月一定の現金支出をしている
・会社を資金的に支える役割もある

そんな相手に対して
現金支出を一旦止めるお願いをします。


そう、金融機関ですね。


金融機関が再生に協力?

通常会社は、とりわけ倒産寸前の会社は
金融機関から多額の借入があります。

追加融資はかなりハードルが高いですが
返済の猶予(リスケジュール。以下「リスケ」)
に関しては交渉の余地があります。

毎月の返済をリスケするということは
返済額と同額を毎月融資してもらうのと同じなので
金融機関にとっては立派な金融支援です。

金融機関が当然支援するべき、
と言っているのではありません。

会社の業績が芳しくないのは経営者の責任です。

金融機関も会社のために
身を切ってくれているのです。


金融機関もボランティアじゃない

金融機関としてはアテもないまま
返済を止め続けるわけにはいかないので


「止めてる間、お宅はどう経営改善しますのん?」

「ほいでいつから返済できますのん?」

「毎月業績改善活動の報告してな?」

「変な経費使ってへんやろな?」



などあらゆる角度でモニタリングをしてきます。



金融機関が複数ある場合は

「うちに先返してーな」

「うち返してくれへんねやったら利息上げるわ」
(通常、元金は止まっても利払いは止まらない)

なんてことになりかねず、
誰かが仲裁しないと混沌を極めます。



中小企業の社長は自分の事業のことは分かっても
この調整能力まではありません。

実はこのような場合に備えて国の機関があり
色々してくれます。
別記事に委ねます。


公認会計士として再生への関わり方

上記は一番メジャーな再生手法である、
リスケの例で説明しましたが他にも色々あります。

公認会計士は、戦略的なコンサルティングは専門外ですが
例えば原価計算支援や管理会計制度構築など
関わり方はたくさんあります。

その辺り含め、また次回。


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