公認会計士によるチェックを受けた財務諸表は、
絶対に正しいと言えるのでしょうか?
実は監査にも限界というものがあり、
1円単位で1つも間違いがないという意味ではないのです。
では、監査済の財務諸表は、
具体的にどの程度正確なのでしょうか??
監査の限界
大企業では日々、想像もつかないくらい大量の取引が行われています。
ここでいう取引というのは、
物を買って加工して売る、給料を払う、建物を買う、事務用品を買う、税金を払うなどの
全ての取引のことだと理解してください。
これらのデータ全てを公認会計士が全てチェックすることは、
①時間の制約
②人員の制約
があるため非常に困難なのです。
ここに監査の限界があります。
限界がある中、監査によって、
どの程度まで正しい情報が担保されているのでしょうか?
ポイントは、
「投資家の意思決定に影響を与えるかどうか」
というところです。
投資家の意思決定に影響を与える、とは?
投資家がその決算数値を見て、
「株を買うか買わないかの決心が変わるかどうか」
という意味なのですが、具体例を見ていきましょう。
少額の間違いを投資家は気にしない
※下の例は、分かりやすくするために、
売上が間違っていたとしたらという事例にしてみましたが、
実際は売上は投資家にとっても非常に重要なので、
細かく監査しています
あなたが株を買いたいなぁ~と思っている会社で、
①「売上が1,000万円の会社で500万円のミスがあり、実際の売上が500万円でした。」
この場合、
この会社の株を買おうとしていた人が、
「やっぱり買うの辞めた!」となる可能性は かなり高いでしょう。
ミスが意思決定に影響を与えていますね。
②「売上が1,000万円の会社で売上500円のミスがあり、実際の売上が999万9,500円でした。」
この場合、あなたは株を買うのを辞めるでしょうか?
このミスが投資家(=あなた)の意思決定に影響を与えるでしょうか?
答えは人それぞれですが、
その程度の間違いなら、
株を買おうという決心は変わらないよ
という人もいるかと思います。
1円単位で正確でなくとも、
投資家の判断に影響を与えないレベルで
正確であることが求められているのです。
投資家目線で、効率よく監査をしている
公認会計士は監査を行う際、
金額的基準や質的基準(金額が小さくても項目的に重要)によってランク付けを行い、
・売上は項目的に重要だから小さな金額までチェックしよう
・●●はあまり金額が大きくないし、社内の規定もしっかりしていて間違えている確率は低いだろうからそこまで細かく見なくてもいい、
といった判断をしながら、効率よく仕事をしていきます。
その結果、
「1円単位で合ってるとまでは言えないが、重要な項目において、投資家の意思決定が揺れるレベルで間違っていることはないと判断します」
というお墨付きを与える業務。
それが監査です。
合理的な保証、と言ったりします。
(絶対的な保証ではないが
相当程度高いレベルで合っているという保証)
効果的かつ効率的な監査が必要
実は1円単位で絶対的に正しい情報を投資家は求めていないんですよね。
繰り返しますがポイントは「投資家の意思決定に影響を与える」か否かです。
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